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7月 おひとり様さまの夏、みんなとの夏

睡眠時間がすっかり短くなってしまっている。太陽がずっとでてるってこういうことなんだな。睡眠時間が短くても元気で、でも昼食のあとなどに、ふと睡魔がやってくる。友達と一緒におしゃべりしていても、いつのまにか一人またひとりと昼寝してしまうような今日この頃。そして目が覚めると何もなかったかのように、すっきりした顔で会話に加わるあの人この人。なんだか楽しい。夏だからなんでも許せてしまうっていうのもあるかな。

今年の夏はぽっかぽかになったり、フリースを着込むくらいに肌寒くなったりと不安定なお天気が続いている。雨も多くって、でもそのおかげで、ここ数年のうちでは一番草花が青々としているような気がする。森の緑の瑞々しいこと。道の脇に並ぶ色とりどりのルピナスも、腰ほどまでに 育っていたりと元気だ。森の中ではいつも以上に緑の匂い、松脂の香りが鼻をくすぐってくれる。陽の沈まない夜に風にのってやってくる鳥たちのさえずり、湖で跳ねる水の音は魚たちの仕業のようだ。時おり真夜中だというのに子供のはしゃぎ声だって聞こえてくる。一人でいる森の中、湖畔にしつらえたハンモックに身を沈めてくつろぐ時間…一人なのに、ひとりでない。自然の息吹に身をまかせていると、明日のことも昨日のことも気にならなくなる。

自然の中でゆっくり過ごす自分だけの時間。家族や友人たちと屈託なく過ごす心地良い時間。たまに森生活からヘルシンキに戻ってくると、街はどこもかしこも素敵な笑顔で満たされているような気がする。おまけになんだか皆さん夏になると美しさを増してはいませんか、という感じだ。 フィンランドの夏って魔法みたい。自然も人も輝いている。流れていく時間もまたキラキラしている。

7月は大人も夏休みに突入。いろんなところがお休みで、首都ヘルシンキには地元の人がえらく少ないのよと言ってしまってる私ですが、でも、7月のフィンランドに是非とも足を運んでいただけたらな、と思う。そしてできたら自然の中に身をおいてみてください。

海にも湖にも、フィンランドには小さな島がたくさん。小さな島でひとり、ふと見上げた空はおしゃべりだったりする。

夏といえば森の中のダンスホール。楽しそうにバンドの準備を待つ老夫婦。ダンスのおかげで足腰も丈夫。楽しくて体にいい。

もう見かけることもないような何十年か前の学校の様子。あっという間にみんな自分の子供時代に戻る時間。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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