3月 ふと立ち止まってみる日常
ゆっくり歩いていると、ほんのりと手の甲に陽のぬくもりが残る。トコトコ歩いていたら冬の冷たい風ばかりが肌にあたるのに、もう春はここまできているんだ。そういえば、ラップランドの友人が「つららが出たらね、春の兆し」と教えてくれたことがある。そしてラップランドでもその春の兆しがやってきたそうだ。
スキーやスケートで行き交う人々で賑やかだった凍てついた海の上も、定期的に整備されていたルートは終了になった。公園のスケートリンクもなりゆき任せになった。海辺のカフェには外でゆっくりする人たちが増え、過ぎ行く冬とやってくる春の両方を、ゆっくりと楽しんでいるようだ。
この前ニュースを見ていたら、スーパーフードという言葉がフィンランドで注目を集めはじめたらしい。そういえばオーガニックのお店でもゴジとかマカ が目立つところに並べられるようになっている。昨日は地下鉄の中でおやつのようにゴジを食べる女子高生を見かけた。フィンランド産のスーパーフードといえばカシスや野生のベリー類。さいきん頻繁に「カラダにいい食べ物」が話題になる。
フィンランドで打ち合わせというと、コーヒーや紅茶に菓子パンがつきもの。ときにケーキのこともある。甘いおやつが多かったのだけれど、これが数年前から甘いものと一緒にサンドイッチなどの軽食という選択肢が加わるようになった。そしてまたまた進化し、最近では果物まで選択肢として登場している。会社によっては甘いものやこってりしたものを避け、なるべく果物一本に絞ろうかという方針のところも出てきたようだ。健康と食生活の話がぽっと日常で出てきたりもするし。ウィンタースポーツもそろそろ終わり、道路は実は今が一番ツルツル滑る危険な時期で散歩もままならない。つい運動不足になりがちな今、改め て個人的にも自分の食生活を見直したり、食事にひと工夫の健康的な日常を考え直してみたいと思う。
陽のぬくもり、春の兆し。
積雪量が多かった今年は雪かきも雪下ろしも大変。雪下ろしがこんな大仕事になる場面も。
海辺のカフェ。散歩のあとに温かいベリージュースでひとやすみ。
森下圭子さん
Keiko Morishita-Hiltunenさん
ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。